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統合失調症では妄想は本人が固く信じているので訂正できません

妄想を見る男性

 

ありえないことを事実と信じる「妄想」

妄想は、幻覚とともに統合失調症の主要な症状の一つで、急性期に盛んにあらわれる陽性症状です。

 

妄想とは、現実にはありえないことを事実(真実)だと強く確信して疑わない状態です。まわりの人がどんなに「そんなことはない」「それはまちがいだ」と説得しても、本人はかたくなに信じ込んでいるので、訂正することができないというところに特徴があります。

 

妄想は、単にその内容が奇異なだけではなく、本人がそれを説明する際の論理に飛躍があり、ふつうでは考えにくい「理由づけ(意味づけ)」をします。

 

そして、統合失調症の妄想には、世の中のすべての出来事は自分とどこかで関連しているととらえる傾向が見られます。統合失調症の患者さんに特徴的に見られる、自分と他人の境界があいまいになる「自我障害」がこうした妄想を生み出しているとも考えることができます。

 

 

妄想を否定したり内容を詳しく聞いたりしない

妄想を理解する上で大切なことは、幻聴と同じように、それがどんなに奇異な内容であっても、妄想は本人にとってはあくまでも「事実」であるということです。

 

ですから、妄想に対して、まわりの人が「それはありえない」と訂正したり、まちがいを証明してみせても、何の効果もないだけでなく、逆にそれを事実と信じている本人にとっては、「自分を否定された」と思い、周囲に対して不信感をつのらせるだけなので、注意が必要です。

 

また、患者さんの妄想を理解するために、こまかく妄想の内容を聞き出そうとすることも、かえって患者さんを追い詰めることになり、逆効果です。なぜなら、妄想の内容の多くは、本人にはおそろしい、不愉快なものだからです。

 

統合失調症の妄想は、たとえ内容がどんなに荒唐無稽なものであっても、患者さんにとっては決して「でたらめ」なものではなく、それなりに理屈が通っており、合理的なものです。

 

まわりの人は、患者さんの話か論理的かどうかではなく、そうした妄想を持たざるをえなかった患者さんの追い詰められた気分や不安というものを理解する必要があります。

 

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妄想にはさまざまな種類がある

統合失調症でよく見られる妄想には、次のようなものがあります。

 

誇大妄想 

自分の能力を過大評価したり、実際には存在しない地位や財産があるように思い込む妄想です。誇大妄想は、統合失調症のもっとも特徴的な症状の一つで、統合失調症の妄想の多くは、この誇大妄想の発展した形であるともいえます。

 

誇大妄想としては、次のようなものが知られています。

 

  • 血統妄想 … 自分は天皇や貴族など特別な出自の人間であると思い込む妄想。
  • 恋愛妄想 … 根拠もないのに異性から愛されている、著名人から愛されていると思い込む妄想。
  • 発明妄想 … 自分は大発明や大発見をしたと信じ込む妄想。
  • 宗教妄想 … 自分は神の啓示を受けた選ばれた人間である、キリストの再来である(仏の生まれ変わりである)、などと信じ込む妄想。

 

誇大妄想は、しばしば被害妄想をともなうことがあります。

 

 

被害妄想(迫害妄想)

みんなが自分の悪口をいっているとか、盗聴にあっているなどと、他者からの悪意によって被害にあっていると思い込む妄想です。被害妄想としては、次のようなものが知られています。

 

  • 注察妄想 … いつもだれかに見られている、監視されていると思い込む妄想。
  • 迫害妄想 … ある団体から迫害を受けている、ねらわれているなどと思い込む妄想。
  • 追跡妄想 … だれかが自分を尾行しているなどと思い込む妄想。
  • 関係妄想 … ささいな出来事や偶然を自分と結びつけてしまう妄想。
  • 嫉妬妄想 … 白分の妻(夫)が不倫をしているなどと思い込む妄想。
  • 被毒妄想 … 食べものに毒が入っていると思い込む妄想。
  • 被支配妄想 … 自分の思考、感情、行動などがだれかに支配され、あやつられていると思い込む妄想。
  • 物理的被影響妄想 … 電磁波で攻撃されているなど、物理的な攻撃を受けていると思い込む妄想。

 

微小妄想

誇大妄想とは逆に、自分の能力や価値を実際以上に過小に評価してしまう妄想です。微小妄想としては、次のようなものが知られています。

 

  • 貧困妄想 … 財産を失ってしまったと思い込む妄想。
  • 心気妄想 … 健康を害してしまったと思い込む妄想。
  • 虚無妄想 … 自分は空虚で存在しない、世界も存在しない、この世は生きる価値がないなどと、一切の存在や価値を否定してしまう妄想。

 

 

身体妄想

自分の体がかわってしまったと思い込む妄想です。

 

 

妄想には、ほかに、動物や霊などが自分に馮依していると思い込む「馮依妄想」や、自分が何かほかのもの(動物や植物など)にかわってしまうと思い込む「変身妄想」などもあります。

 

 

 

妄想の出現パターン

  • 妄想の生じ方には、次のようなパターンがあります。
  • 「何かとんでもないことが起こりそうだ」「戦争が起こりそうだ」「世界が破滅する」といった不気味で不安な気分が生じたあと、はっきりとした妄想が生じる。
  • 「自分は救世主だ」などと、突然にひらめいた着想を確信する。
  • 何かを見たり聞いたりしたことをきっかけに、それとは無関係な意味を確信する。
  • 周囲のことが自分に関係していると確信する。たとえばテレビを見ていて、突然、画面の中の女優と自分が恋愛関係にあると確信する。
  • 幻聴などの幻覚に基づいて妄想が生じる。たとえば、「自分の悪口をいっている」という幻聴に基づき、被害妄想を持つ。

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