わかりやすく統合失調症を解説します | 統合失調症チェックナビ

統合失調症の診察前には医師から聞かれそうなことはメモに記録しておきましょう

統合失調症の病院の診察室

 

診察は問診が中心に行われます

統合失調症の診察は、患者さん本人と家族との問診を中心に進められます。本人が家族の同席をいやがる場合には、別々に話を聞くこともありますが、治療方針に関しては、必ず本人と家族が同席して話を聞くことが大切です。

 

重要な治療方針について、お互いの理解が異なっていたり、家族だけに何か説明したのではないかと患者さんが疑心暗鬼になったりするおそれがあるからです。

 

問診では、主に次のようなことが聞かれます。

  • どのような症状があらわれたか
  • 症状はいつごろからはじまったか
  • 症状はどのような経過をたどったか
  • 社会生活や日常生活にどのような支障が見られるか

 

ほかに、生育歴(生活歴)、既往歴家族歴などの情報も、診断には欠かせません。

 

本人に病識がなかったり、陽性症状のために興奮状態にあるようなときは、本人への問診が困難となりますので、その場合は家族への問診を中心に進められます。

 

医師から質問される内容については、家族があらかじめメモにして持参すると、問診もスムーズにいきます。

 

問診で医師から聞かれること

  • 既往歴 … 継続して薬を服用したような病気やケガ、手術の有無など
  • 生育歴(生活歴 ) … 生まれた土地/転居の経験/乳幼児期、保育所、幼稚園、小学校から高校までの間に特記すべきこと(養育者、家庭環境の特徴、友だちは多かったか、学校の成績、挫折や失敗必経験の有無など/成人の場合は、職業歴(最初の職場、勤続年数、転職の回数、最長の勤務年数)/結婚歴や離婚歴/子どもの数など
  • 家族歴 … 家族の病気(特に精神疾患)、自殺者の有無など
  • 病気の経過 … 現在の状態がいつごろはじまったか/最初の症状あるいは問題行動/それが変化した時期と、そのときの症状や問題行動/現在の症状や問題行動/これまでに相談した機関/治療を受けたことがある場合は、そのときの医師による説明内容と治療内容など

 

【スポンサードリンク】

 

統合失調症とよく似た症状があらわれ病気

統合失調症の症状は、間をおいてあらわれたり、激しい陽性症状があらわれずに比較的おだやかなものだったりすると、見過ごされることも少なくありません。特に、発症初期の段階で、確実に統合失調症と診断することはむずかしい場合があります。

 

そこで、まず、あらわれている症状が統合失調症のものなのか、それともほかの精神病性障害から生じているものなのかを見きわめる(鑑別する)ことが重要となります。

 

また、気分障害やパーソナリティ障害などでも、統合失調症に似た症状が見られるほか、身体疾患の一部に精神症状を引き起こすものがあり、さらに薬物の使用によっても似たような症状が生じることがあるので、これらの症状との鑑別診断も不可欠です。

 

統合失調症と似たような症状があらわれる病気には、次のようなものがあります。

 

短期精神病性障害

幻覚や妄想など、統合失調症に似た症状が見られますが、1日から1カ月程度しか持続しません。強いストレスによって引き起こされるとされますが、明らかなストレスがなくても起こることがあります。急性、かつ一過性に起こるのが特徴で、放物治療を受けても受けなくても回復し、通常は再発することはありません。ただし、短期精神病性障害を起こした人のおよそ30%が、3年後に統合失調症に移行するとの報告があります。

 

 

統合失調様障害

統合失調症に似た症状が1カ月以上つづきますが、6カ月以内にはほぼ回復します。症状が6カ月以上つづいた場合には統合失調症の可能性もありますが、双極性障害(躁うつ病)や、あとで述べる「統合失調感情障害」に移行する場合もあり、暫定的な診断としての意味合いがあります。

 

妄想性障害

妄想が持続的に見られる精神性障害ですが、妄想以外の精神症状はほとんど認められません。被害妄想や恋愛妄想、身体的な妄想などが多どその内容も、突飛なものではなく、あとをつけられる、毒を入れられるといった、現実にありうる内容が多いことが特徴です。幻覚は、あっても一過性だったり、断片的だったわします。中年期で発症することが多いとされています。

 

統合失調感情障害

統合失調症と気分障害の症状の両方が同時に見られます。統合失調症に似た症状としては幻覚や妄想が、気分障害の症状としては抑うつ症状や、その反対の躁症状があらわれます。発症年齢は、20代から30代にかけての若い年代に多く、女性に多いという傾向があります。

 

気分障害

双極性障害(躁うつ病)の躁症状が統合失調症の陽性症状に、抑うつ症状が陰性症状に似ていることからときに鑑別がむずかしい場合があります。大きな相違点としては、統合失調症が「思考」の障害であるのに対して、双極性障害は「気分」の障害であることです。そのため、症状が気分に関連して変動する場合には、双極性障害として鑑別が可能です。

 

た、双極性障害は、躁の病期とうつの病期がはっきりと分かれ、病期と病期の問は正常な機能レベルに回復しますが、統合失調症の場合には、そのような意味での病期はなく、極端な機能レベルの変動も通常見られません。

 

統合失調型パーソナリティ障害

統合失調型パーソナリティ障害は、非現実的な考えや知覚に支配されることが特徴で、そのため、思考や認知、会話に奇妙さが見られ、ときに統合失調症に似た症状をあらわすことがあります。ただし、幻覚や妄想といった陽性症状は認められません。

 

一般に、統合失調型パーソナリティ障害の症状の程度は統合失調症のそれよりもおだやかで、統合失調症の診断基準を満たしません。

 

 

 

診断確定のための各種検査

統合失調症と確定するために、問診と同時に、CT検査やMRI検査、血液検査、髄液検査などが行われることがあります。これらの検査は、統合失調症かどうかを診断するためというより(統合失調症は画像検査などではわからない)、統合失調症以外の病気を除外するための検査といえます。

 

これらの検査で調べることは、主に以下の2つです。

 

身体疾患から生じる精神症状

脳腫瘍、ウイルス性脳炎、側頭葉てんかん、せん妄、甲状腺疾患などの身体疾患から統合失調症に似た精神症状があらわれることがあります。

 

薬物の使用から生じる精神症状

麻薬や覚醒剤の使用によって、幻覚や妄想が引き起こされることがあります。そのため、これらの薬物の使用がないかどうかを調べます。また、処方薬によっても精神症状が出ることもあるため、処方薬の有無も確認します。

 

以上の検査で、いずれでもないとわかれば、統合失調症の可能性が高くなります。

 

 

統合失調症の診断基準
統合失調症は、体の病気のように、検査の結果ですぐにわかる病気ではありません。そこで、臨床の場で使われているのが、心の病気の診断基準です。

 

近年、欧米で提唱され、世界標準の診断基準となっているのが、WHO(世界保健機関)発行の「ICD-10(国際疾病分類・第10改訂版)」と、アメリカ精神医学会発行の「DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引・改訂第5版)」の2つです。

 

中でも、「DSM-5」は世界の多くの国で用いられており、日本でも主流となっています。「DSM-5」の診断基準では、@妄想A幻覚B解体した会話Cひどくまとまりのない、または緊張病性の行動D陰性症状の5つのうち2つ以上(うち少なくとも1つは@AB)が1カ月間持続している場合に統合失調症が疑われるとしています。

 

 

ただ、実際には、現場の医師は、こうした国際基準の通りに診断しているわけではありません。前述したように、統合失調症以外の病気でも幻覚や妄想のような統合失調症とよく似た症状を示すこともあり、また症状には個人差もあるため、医師はこれらの診断基準はあくまでも参考程度にとどめ、みずからの経験と知識をもとに診断と治療を行っていきます。

 

 

診察後の医師からの説明
診察のあと、医師から患者さんや家族に説明されることは次のようなことです。

  • 症状と診断名
  • 休息(休養)の必要性
  • 今後の治療方針
  • 薬の副作用
  • 今後の見通し(予想される経過)
  • 日常生活で気をつける点

ただし、これらの説明を初診のときに一度に行うことはむずかしいので、必要な説明をまず行い、病状が落ち着くのを見ながら、少しずつ説明を加えていくというのが一般的です。

 

 

病名の告知には十分な配慮が必要です

残念ながら、一般にまだ「統合失調症」という病気に対する誤解や偏見があることは確かです。しかし、患者さんやその家族に正しく病気のことを知ってもらうためにも、また適切な治療を行っていくためにも、病名の告知は避けて通れません。

 

ただし、病名の告知にあたっては、時期を選び、患者さんの気持ちに十分に配慮をした上で行う必要があります。また、家族の意見を聞くことも大切です。

 

初診ですぐに病名の告知を行い、薬物治療を開始するようなことは、まずありません。ふつうは、経過観察を経て、数カ月かけてじっくり病名を特定するための情報を集めていきます。

 

次に、告知に際して留意すべき点をあげてみます。

 

主治医が責任を持って計画的に話す

病名の告知は「両刃の剣」です。中途半端な伝わり方をすれば、患者さんにつらい思いをさせ、信頼頼関係をそこねることにもなりかねません。告知は、主治医が、患者さんの不安をかき立てないように、責任を持って、計画的に行うべきです。

 

患者さんに病気のイメージを正しく伝える

統合失調症は決して絶望的な病気ではないこと、きちんと治療をすれば必ずよくなること、ただし再発が多い病気であることなどを患者さんに正しく認識してもらうことは、治療をつづけていく上できわめて大切です。

 

混乱時の告知は避ける

妄想や幻覚(幻聴)が強く、患者さんが混乱している時期に病気の説明をしても、かえって反発されたり、絶望して治療を拒否したりするおそれがあります。

 

その場合は、本人には症状がある程度おさまったころに医師から話しますが、家族には病名を伝えて理解を求めることが一般的です。


【スポンサードリンク】

関連ページ

統合失調症の適切な治療を受けるのは、まず専門医を探しましょう
統合失調症の患者を病院に連れていく方法
統合失調症の治療は通常は通院して行います
統合失調症の治療の基本方針は薬物治療とリハビリです
統合失調症の急性期の治療は静かな環境でしっかり休息することが大切です
統合失調症の慢性期の治療はリハビリを並行しながら進めます
統合失調症の薬物治療に使う抗精神病薬は副作用の少ない非定型抗精神病薬が主流です
抗精神病薬の使い方とで減量していく方法はゆっくりと行うことがポイントです
抗精神病薬には危険な副作用もあるので注意が必要です
統合失調症では抗精神病薬のほかにも色々な薬が使用されます
薬が使えない場合は電気刺激による治療法を行います
統合失調症の生活のしづらさを改善するにはリハビリが必要です
支持的精神療法とは統合失調症の患者さんを精神的にバックアップする治療です
統合失調症の歪んだ認知を改善する認知行動療法
認知機能のリハビリは社会復帰のためにも重要です
生活技能訓練(SST)は認知行動療法に基づいたリハビリです
作業療法はリハビリとしても実績がありストレス解消に効果的です
デイケアは社会復帰に向けて積極的に活用したいリハビリの場です
統合失調症の治療で入院するのはメリットもデメリットもあります
統合失調症の入院形態の種類は任意入院と強制入院があります
統合失調症の患者さんで自覚が無い時は入院を拒否することもあります
統合失調症の入院施設には閉鎖病棟と開放病棟があります
統合失調症は症状が治まれば原則としていつでも退院できます
医師や病院と信頼関係が築けない場合は転院も選択肢の一つです