わかりやすく統合失調症を解説します | 統合失調症チェックナビ

統合失調症では自分に合ったリハビリを無理のないように気長に続けていくことが重要です

作業療法士とリハビリをする男性

 

リハビリは薬物治療と並ぶ治療の大きな柱です

統合失調症は、脳の中の神経伝達物質のバランスがくずれることで起こる病気です。薬は、このアンバランスな状態を改善するように働きますので、神経伝達物質のアンバランスがもたらす妄想や幻覚などの陽性症状は、薬によって比較的短期間で改善します。

 

 

しかし、薬で症状が抑えられても、いったん傷ついた脳は、なかなかもとには戻りません。脳はまだ消耗した状態にあるため、喜怒哀楽が表現できない、考えをうまくまとめられない、周囲への関心がわかない、意欲が低下する、集中力がつづかないといった「陰性症状」や「認知機能障害」があらわれてきます。

 

 

また、対人関係がうまくいかない社会に出る自信がない、仕事が長つづきしないといった「生活のしづらさ(生活障害)」が残ることも少なくありません。

 

このように、統合失調症では、症状は薬である程度コントロールできても、社会生活を送る上では、大きなハンディキャップをかかえることになりがちです。

 

こうした困難やハンディキャップをかかえながらも、困難を乗り越え、よりよい社会生活ができるようになるためには、リハビリテーション(以下、リハビリ)が重要です。

 

なお、統合失調症のリハビリは「心理社会的療法」ともいいます。

 

統合失調症のリハビリは、たとえ障害があってもその人しく生き、生活の質(QOL)を高めることが目的です。その考え方の中心にあるのが「ノーマライゼーション」です。

 

ノーマライゼーションとは、障害を持ちながらも、残された能力を発揮して、社会の中で暮らしていくという考え方です。

 

ですから、病気が回復してからリハビリをはじめるのではなく、症状があってもできる範囲で行っていくというのが、基本的な考え方です。そのため、統合失調症では、急性期からリハビリをはじめます。

 

統合失調症の治療において、リハビリは薬物療法と並ぶ車の両輪であり、しかも自分でできる治療法です。

 

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リハビリをはじめる時期

リハビリは、適切な時期に適切な方法で行うことではじめて効果が上がります。急性期の場合は、まず症状を落ち着かせることが第一で、症状が安定するまでは十分な休息を取ることが大切です。

 

症状が落ち着いてきたら、次に生活のリズムをととのえることを目標にします。昼夜逆転の生活をしていた人が、テレビを見たり、音楽を聴いたり、新聞や雑誌を読んだりできるようになるのも、広い意味のリハビリです。

 

患者さんに意欲が戻り、それまでできなかったことが一つずつできるようになる体験を積み重ねていくことが大切です。この時期には、自宅に患者さんがくつろげる「居場所」があるということが非常に重要です。

 

症状がある程度落ち着いてきたら、それまで社会から離れていたことで失われてしまった能力や機能(技能)を取り戻すためのリハビリを少しずつはじめていきます。

 

 

自分に合ったものを選び無理せずに取り組む

統合失調症のリハビリには、患者さんを精神的にバックアップする「精神療法(認知行動療法も含む)」や、対人関係の練習や生活で必要な能力を身にっけるSST(生活技能訓練)、遊びや作業を通じて集中力や持続力、作業能力の回復をめざす「作業療法」など、さまざまな方法があります。

 

また、病院やクリニックに併設された「デイケア」という場で、同じ病気を持つ仲間と過ごしたり、スポーツやレクリエーション、趣味などのグループ活動に参加したりすることも、回復に役立ちます。

 

統合失調症のリハビリは、対人関係の回復、生活技能の改善、職業リハビリなどのいずれかに力点が置かれることがあり、目的によって方法や内容が異なります。

 

さまざまなリハビリがありますので、その中から自分に合ったものを選び、あせらずにゆっくり取り組むことが大切です。くれぐれも無理をしたり、いきなり高い目標を設定したりしないことが大切です。

 

 

リハビリの目的・効果

 

対人関係や協調性の回復

リハビリの場で多くの人と出会い、ともに体験し、協力していくという経験を通して、人とのかかわり方を学びます。

 

病気をかかえながら暮ら万していく方法を

対人関係のコツ、ストレスへの対処法、生活の仕方、体力づくりなど、自分らしく生きていく方法を学びます。

 

生活のリズムをととのえる

療養生活によって不規則になった生活のリズムを取り戻します。

 

病気への対処法を学ぶ

薬の効果や副作用、睡眠の大切さ、再発のサインなどを知ることで、病気の悪化を防ぐことができます。

 

社会復帰にそなえた準備をする

リハビリによって、病気で低下した社会技能や生活技能を回復させます。

 

 

リハビリ施設の探し方

リハビリの相談窓口

実際にリハビリをはじめようとしても、施設探しやプログラムの選択、手続きなど、やっかいなことが少なくありません。

 

また、患者さんや家族だけでリハビリの目標を決めると、つい無理をして高い目標になってしまいがちです。リハビリをはじめるときは、まず専門家に相談してみましよう。

 

医療機関で相談

主治医の病院や診療所(精神科クリニック)の中には、ディケアを行っているところがあります。医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士などのスタッフがチームを組んでリハビリに取り組んでいますので、問い合わせてみましよう。

 

地域の機関で相談

各地域にある「保健センター・保健所」「精神保健福祉センター」「相談支援事業者(地域生活支援センター)」などの機関では、地域で活動している事業の状況を把握しています。保健センター(保健所)や精神保健福祉センターではデイケアを行っているところもあります。

 

 

施設選びのポイント

まず、紹介された施設がどんなところか、どんなことをやっているのか、実際に見学してみることをおすすめします。施設によっては、作業療法などを体験できるところもあります。紹介してくれたスタッフといっしょに行ければ、なおよいでしょう。

 

また、先に述べたように、リハビリをはじめる場合、最初は事情がわからないため、つい目標を高く設定しがちです。しかし、それではリハビリがつらいものとなり、逆効果になります。施設やプログラムを選ぶ際には、患者さんが「居心地のよさ」や「楽しさ」を感じられるかどうかを重視しましよう。施設を決めるにあたっては、次のポイントも大切です。

 

アクセス

リハビリは長期にわたることが多いので、できるだけ通いやすい施設を選ぶことが大切です。また患者さんの状態にもよりますが、交通機関を利用することも一つのリハビリになります。

 

費用

デイケアは、保健所では無料ですが、そのほかの施設では医療費の個人負担があります。ただし、障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)の制度が利用できます。


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