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統合失調症では認知行動療法は陰性症状だけでなく陽性症状にも有効な治療法です

認知行動療法をする医師と患者

 

ゆがんだ認知と不適切な行動の両方を改善します

統合失調症に効果のある精神療法として近年注目されているのが、「認知行動療法」です。認知行動療法は、もともと主にうつ病や不安障害の患者さんに対する治療法として行われていましたが、統合失調症の患者さんにも有効であることが実証され、統合失調症の治療ガイドラインでも推奨されています。

 

 

認知行動療法は、「認知療法」と「行動療法」の二つが統合された治療法で、米国で開発されました。

 

認知療法は、その人の考え方や認識の仕方(認知)に焦点をあて、極端な考え方や認識の仕方(認知のゆがみ)の修正をはかりながら問題点を解決していくもので、行動療法は、不適切な行動は誤った学習の結果と考えて徐々に適切な行動をぶやしていけるように再学習を行っていくものです。

 

 

認知・行動・感情の3つのバランスをとります

認知行動療法の基本となるのは、「認知(考え)」「行動」「感情(気分)」の3つの要素です。この3つの要素が正三角形のようにバランスがとれているかどうかを見ながら、問題解決の糸口を探っていきます。

 

認知や行動、感情の一部分だけに注目していると、人間関係や仕事上で失敗したとき、その原因がどこにあるのか気づくことができません。

 

認知行動療法は、この3つの関係性に着目し、認知の内容を深く掘り下げ、自分ではコントロールできない「自動思考」(ある状況に置かれたときに自然と浮かんでくる思考やイメージ)を自覚して、マイナスとなる考え方を修正するきっかけを見出します。

 

自動思考をとらえる(言語化する)ど、認知の意外性に気づくようになりますイさらに認知を掘り下げていくと、自分の「スキーマ」を発見します。スキーマとは、その人自身の持って生まれた要因や生まれ育ってきた環境などから育まれた人生観や価値観、個人的な信念、ものの見方などです。

 

 

自分のスキーマに大きな問題があるために、誤った信念が症状を引き起こしていることに気づき、その信念がいつも正しいわけではないことが認識できれば、そこから治療への道が開けます。

 

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陰性症状だけでなく陽性症状にも効果があります

統合失調症の場合、急性期の陽性症状がおさまると、「感情の平板化」「意欲の減退」「集中力・持続力の低下」「自発性・自主性の低下」などの陰性症状が前面に出てくることが多くなりますが、こうした陰性症状の改善に、認知行動療法は有効です。

 

 

また、抗精神病薬による治療を十分に行っても、なお持続する幻覚や妄想などの陽性症状に対しても、認知行動療法は効果があるといわれます。

 

幻覚や妄想に対する認知行動療法では、@幻覚や妄想を誤った信念からくる病理現象ととらえる、A陽性症状によって引き起こされた苦痛や自尊心の低下を改善させることによって陽性症状に間接的に影響をあたえる、B病気や治療に関する理解を深め対処法を学ぶ心理教育を重視する、の3つの原則が重要であるといわれます。

 

 

認知行動療法の実際の進め方

認知行動療法は、治療者と患者さんとの対面式の面接が中心で、面接は、原則として週I回で10〜20回行いますが、患者さんの状態に合わせて延長する場合もあります。また、場合によっては、フォローアップ面接を行うこともあります。

 

 

認知行動療法では、「ホームワーク(宿題)」といって、面接で話し合ったことを実生活で検証しながら、認知の修正をはかることが必須の課題となります。

 

治療の具体的な方法を以下に簡単に記してみます。
1:患者さんの悩みや問題点、強みや長所などをピックアップして治療方針を立て、それを患者さんと共有しながら面接を進めていきます。

 

 

2:行動的技法を用いて、生活のリズムをつくっていきます。その際に、毎日の生活を振り返り、活動内容を次の3つに分類します。
@日常的に行う決まった活動
A優先的に行う必要のある活動
B楽しめる活動や、やりがいのある活動
これらの活動に優先順位をつけて、行動を徐々に活性化していきます。特に、楽しめる活動や、やりがいのある活動をふやしていくことは効果的です

 

。また、一定の身体活動や運動を行うことで、自信やコントロール感覚を取り戻し、ほかの人とのかかわり体験を持てるようにしていったり、問題解決技法を使って症状に影響していると考えられる問題を解決していったりして、適応力を高めていくようにします。

 

 

3:自動思考に焦点をあて、なぜそう思うのか、その根拠と反証を検証することによって、考え方のかたよりや認知のゆがみを修正していきます。

 

 

最後に、治療全体を振り返り、変化した点とその方法を確認します。再発を防ぐために、今後の課題や症状が悪化したときの予防法などを話し合います。

 

認知行動療法は、うまく実践できれば、症状の改善に有効なだけでなく、認知のゆがみを修正することで再発防止にも役立ちます。

 

 

 

「認知のゆがみ」の例

 

  • 二分割思考(両極端な思考) … 何事も「白か黒」「○か×」「全か無」 「善か悪」など両極端に分けて考える
  • 過度の一般化 … 1つのよくないことがあると、「いつも決まってこう だ」「うまくいったためしがない」と考える
  • 破局形成 … いつも最悪の事態を考えており、しかもそれが自分に起こ る確率が高いと考える
  • マイナス思考 … よいことがあっても、「たまたまだ」「まぐれにすぎな い」と否定的に考える
  • 感情的決めつけ … 理由もなく「〜に決まってる」と決めつける
  • 恣意的推論 … 十分な根拠もないのにものごとを悲観的にとらえ、勝手に推測して判断する
  • 否定的予測 … ささいなことからいつも否定的な予測が浮かぶ
  • 自己関連づけ … 自分はいつもだれかから見られていると考える(特に 悪い行い)
  • 過度の責任感 … 何かよくないことが起こった場合、すべて自分に責任 があると考える
  • すべき思考 … 何かやろうとするとき、絶対に「〜すべきだ」「〜すべ きでない」と考える
  • 選択的抽出 … あることにだけ強くとらわれる
  • 低い自己評価 … 自分は何をやってもまともにできない、ほかの人より 劣っていると考える
  • 拡大視・縮小視 … あることを極端に大きく考えたり、逆にささいな ことだと感じたりする

 


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