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統合失調症では生活技能訓練(SST)では身近な場面を想定してロールプレイ方式で行います

生活技能訓練をする人達

 

QOLを高めるためのリハビリです

SST (ソーシャル・スキルズ・トレーニング。生活技能訓練、あるいは社会生活技能訓練)は、認知行動療法に基づいたリハビリテーション技法です。

 

統合失調症など、精神に障害をかかえた人が社会で生活していくために、対人関係を良好に維持する技能を身につけ、自信を回復し(QOL(生活の質)を高める)、ストレス対処や問題解決ができるスキルを習得する(再発を防ぐ)ことをねらいとしています。

 

SSTは、患者さんが入院しているときから行われることが多く、デイケアでも中心となるプログラムの一つです。1994年に健康保険の適用とたったことで、SSTは多くの医療機関でも積極的に行われるようになっています。

 

 

どんなことを練習するのでしょうか

SSTがめざすのは、主に次のような技能(能力)の向上です。

 

  • 日常生活技能 … お金を自分で管理したり買い物をしたりする、料理をする、身だしなみをととのえる、掃除やせんたくをする、日中の時間を上手に使う、などです。
  • 社会生活技能(対人関係) … 対人関係は、患者さんがもっとも解決したいと望むことです。人とのつきあい方、ふるまい方などを、具体的に場面を想定しながら練習します。たとえば、「電話をかけるとき、相手に正確に内容を伝える」「人に何か質問する」「医師に自分の病状を伝えたり、薬の注意点などを聞く」「近所の人と会ったときにあいさつする」などです。
  • 病気の自己管理能力 … 患者さん自身が薬を飲みつづけていくために必要な薬の知識や副作用への対処法、また症状があらわれた場合のコントロール法などを学びます。

 

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SSTの具体的な方法

SSTは、一般的にはグループによるロールプレイ(役割演技)方式で行われます。ロールプレイとは、日常生活で起こる課題(場面)を、その場の参加者たちが役割を演じることで、謀題を解決するための手がかりを探っていくという方法です。

 

「役割を演じる」という疑似体験を通して、設定された課題が実際に起こったとき、それに適切に対応できるようにする学習方法で、次のような学習効果が期待できます。

 

 

  • 自分で考えて行動することで、問題を解決する方法を学ぶことができる。
  • 自分の行動や感情の特徴をつかむことができる。
  • 相手の感情や人間関係のパターンなどについて、さまざまな「気づき」が得られる。
  • 望ましい言動や取るべき対応を事前に試すことができる。
  • ふだん経験したことのない新しい役割を体験することができる。
  • さまざまなやりとりを通じて、状況の変化をつかむことができる。

 

ロールプレイは、次のように進められるのが一般的です。

  1. 説明 … ロールプレイのやり方や目的などを説明します。
  2. ウオーミングアップ … 気楽に演技が行えるような雰囲気をつくります
  3. 課題設定と役割の決定 … 練習する課題(場面)を設定し、メンバーの役割を決めます。課題は、メンバーの実際の生活状況に近いほうが、練習する本人のためになり、実際の生活場面での成功率も高くなります。
  4. 実演 …  シナリオ通りに演じたり、即興的(自発的)に演じたりしますやり直したり、くり返したりしながら、問題解決の方法を発見し、また感情や思いに気づきます。ロールプレイは、あまり長くやる必要はなく短くてかまいません。
  5. シェアリング … 練習が終わったら気づいたり感じたことをいい合います。ポイントは、できるだけ具体的にメンバーの「よかったところ」を見つけてほめることです。これを「正のフィードバック」といいます。そして、どうすればよくすることができるか、「改善点」を話し合います。同席しているリーダーが、もっとうまくいくためのアドバイスをすることもあります。
  6. もう」度実践する(再ロ−ルプレイ) … 改善点に注意しながら、再度練習します。
  7. さらによくなった点をほめます。

 

 

実際の場面でできることが大切です

ロールプレイから学ぶことは、うまく役割をこなすことではなく、相手の考えや感情を理解し、人とどのようにかかわればよいかを知ることです。そして、学んだことを、実際に日常生活の中でやってみることが大切です。

 

また、ロールプレイで注意しなければならないのは、練習したメンバーの行動について批判や非難はしないということです。悪い点を指摘してしまうと、指摘された人は自信をなくし、萎縮してしまうからです。

 

悪かった点を指摘するのではなく、「こうすれば、もっとよかった」という点を強訓するようにします(たとえば、「話しかけるとき、相手の目を見ていったほうがもっといいと思う」など)。

 

SSTは、「人間は、社会の中で、他人の言動を観察することによって学び、自分自身の言動をかえていく」という社会学習理論を基盤としているので、直接練習をしなかったメンバーも、SSTのグループに参加し、ほかの人のロールプレイを観察しただけでも効果があるとされています。


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