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統合失調症では家族が患者さんに対して批判的な対応をすると再発しやすくなります

統合失調症の家族の心ない対応に傷つく患者さん

 

感情表出には3つのタイプがあります

家族は患者さんにとって大切な存在ですが、身近にいるだけに、接し方によっては患者さんのストレスとなり、かえって再発の危険性を高めてしまうことがあります。

 

特に問題となるのが、表情、口調、態度など、家族の人の感情のあらわし方です。この感情のあらわし方を、「感情表出」といい、英語のExpressed Emotionの頭文字をとっ
て「EE」と呼ばれます。

 

患者さんに対して「批判的である」「敵意を持っている」「情緒的に過度に巻き込まれやすい」といった傾向が強いことを、感情表出が高いという意味で「高EE」、あるいは「EE(のレベル)が高い」といい、そうでない場合を「低EE」、あるいは「EE(のレベル)が低い」といいます。

 

 

最初の「批判的な感情表出」とは、たとえば「何もしないで家でごろごろしている」「甘えて怠けているとしか思えない」「いい年をして仕事もしない」などと、患者さんに不満や文句をいうことです。

 

2つ目の「敵意のある感情表出」とは、「いっそ、この子がいなければいい」「この人のせいで私の人生は台無しになった」「なぐって根性をたたき直してやりたい」など、患者さんに敵意をいだいたり、攻撃的な態度を取ることです。

 

3つ目の「情緒的に巻き込まれている感情表出」とは、「この子は病人だから私がいてあげないといけない」とか「この人の気持ちは私にしかわからない」など、過保護や過干渉になってしまうことです。少しのことで泣きくずれたり、冷静さを失うようなことも含まれます。

 

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高EEの家族を持つ患者さんは再発しやすいです

イギリスで行われた研究では、統合失調症の患者さんの家族を、感情表出(EE)の程度によって、「高EE家族」と「低EE家族」の2つのタイプに分けました。その結果、退院して「高EE家族」のもとに帰った患者さんは、9カ月以内に再発する割合が50%を超えましたが、「低EE家族」のところへ帰った患者さんの再発率は、わずかに13%でした。

 

 

また、この研究では、「高EE家族」が患者さんと接触する時間について、1週間に35時間以上と35時間未満のグループに分けて、再発率を比較しました。その結果、再発率は、35時間以上の家族では69%、35時間未満の家族では28%と、大きな差が見られました。

 

 

つまり、患者さんが「高EE」の家族といっしょにいる時間が長ければ長いほど再発率が高くなっているのです。さらに驚くべきことは、「高EE」の家族がいるよりも、むしろ家族がいないほうが再発率が低いというデータがあることです。

 

 

「高EE」といわれる感情表出の3つのタイプの中で、患者さんにもっとも悪い影響をあたえるのが、「敵意のある感情表出」です。これだけで「高EE」の家族と判定されます。

 

また、家族の中に1人でも「高EE」の人がいれば、「高EE」の家族と判定されます。母親が患者さんに対して「受容的」でも、父親は「批判的」という家族は少なくありません。

 

なお、最近の研究では、家族だけでなく、看護師などの医療従事者の感情表出も、患者さんの再発に影響をあたえることがわかってきました。

 

 

 

家族が「高EE」になる理由

では、家族の感情表出はどのような場合に高くなってしまうのでしょうか。

 

まず第一に、患者さんの症状が激しく、それが慢性的につづいているような場合です。これは家族にとって相当なストレスであり、そのためつい批判的な感情をぶつけてしまうことがあります。

 

次は、統合失調症という病気に対する理解が不足している場合です。たとえば、症状のせいで眠ってばかりいるのを「怠けている」と思い、「しっかりして」としかってしまうことはよくあることです。

 

3つめは、ほかの家族の協力が得られずに、1人で問題をかかえ込んでしまう場合です。母親が1人で問題をかかえ込んでしまい、患者さんの症状が悪化すると父親から責められるというケースがよく見られますが、このような場合の家族の「EE」はやはり高くなってしまいます。

 

 

そのほか、将来への不安や経済的不安が強かったり、専門家からの援助が十分に受けられないような場合も「高EE」の原因となります。

 

ただし、注意していただきたいのは、実際の生活の中で、患者さんに少しでも「批判的な態度」をとったり、「情緒的に巻き込まれて」はいけないということではありません。問題は、そのような態度が一貫している場合、あるいは度を越している場合に、「EEが高い」と評価されるということなのです。

 

 

つまり、「EE」はあくまでも再発防止の尺度であり、患者さんのまわりの人たちが自分たちの接し方に再発リスクがないかをよく考えて、もしそうであれば修正する工夫や努力が必要だということです。家族など周囲の人の気持ちの安定と適度な感情の交流、冷静な対応が、患者さんにもよい影響をあたえます。

 


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